世は高齢化社会へと進行中。
私の住んでいる街には、放置自転車を取り締まる係が駅前に数人いる。
暑かろうが寒かろうが、放置禁止とされる場所に立ちつくし、時間まで取り締まるのが仕事だ。体力と時間を使う仕事だが、どの人も、60歳を越えたおじいさんばかり。どんな理由にせよ、楽な仕事ではないはずだ。
自分が60歳になったら、どんなことをしているだろうか?
年金はあてにならない。もしかして、今の仕事を続けているだろうか?そもそも続けられる仕事だろうか?
今日、スーツを買いに近所のショッピングモールへ出掛けた。
普段スーツは着ないので、夏へ向けた安価なスーツを探していた。
スーパーに併設された、紳士服売り場で見つけたのは、2着で19,800円のポリエステル混合スーツ。
適当に物色してみたが、買い慣れないのでサイズ表記がよくわからない。。
すると、近くにいたスタッフの男性が声をかけてくれた。
60歳はとうに越えているであろう「おじいさん」だ。
「サイズについて知っておくと、今後スーツ買うときに困らないよ」
おじいさんの話は、サイズから始まり、スーツの生地の違い、アメリカンとブリティッシュの違い、ボタンシャツにネクタイがいかに邪道か?など、かなり長く続いた。正直、「うざい」と思った。
しかし、話を聞いているとスーツについて、相当勉強されている。
しかも、前職ではオンワードやラルフローレンなどを経ている凄い業界キャリアの持ち主。
そこそこ、裕福であろうことは、身なりから見てとれる。
なぜ、こんなスーパーの紳士服売り場で働いているのだろうか?
話を聞いていくと、本当に洋服が大好きで、退職した後も大好きな洋服に携わりたいという思いから、派遣社員として働いているのだという。最近は身体もガタがきているが、売り場に立っているそうだ。
結局、そのおじいさんのレクチャー通りにスーツを買い、サイズ直しまでしてもらった。
「ここの修繕屋もプロだから、言えばキッチリ直してくれるよ」
と、ウエストとヒップの詳細な詰め指示までしてくれた。
自分が60歳になったら何をしているだろうか?
もし働くことになっても、この人のような仕事に出会っていたい。
スーツの仕上がりが楽しみだ。
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